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実録!要救助者2名

今週は本業ど真ん中。

100万円を超える大口の片付け案件。
いわゆる足の踏み場もないゴミ屋敷だ。

さすがに私も下見を買って出た。

仕事パートナーのKちゃんを引き連れ。

ただし今回は一つ大きな注意事項があった。

「お隣のマンションオーナーがかなりのクレーマーで、何かあるとすぐ私のところへ連絡がきます」

依頼主の不動産屋さんからそう聞いていた。

だからKちゃんと二人で固く誓った。

「何があっても騒がない。驚かない。」

以前Netflixで
グロいシーン多めの『地面師たち』
を観た私は、それ以降、空き家に入るたびに少しビビっている自分がいる。

ベニヤ板で閉じられた扉を電動ドライバーで外す。

当然通電はされておらず、ほぼ暗闇。

私はここぞとばかりに先輩づらを出し、Kちゃんに先に入るよう促した。

数秒後。

「ぎゃーーーー!!」

(だからシーだってば!)

なんて注意をする余裕もなく、私は一瞬で思った。

これは警察沙汰のやばい系ではないか、と。

「ど!どうした!?」
「いいから来てください」
「嫌だ!だからどうした!?」
彼はすくんで動けない様子だ。

完全に見てはいけない物体を見てしまったのだと確信した私は110番の準備にとりかかる。

「わかったから落ち着いて一回戻って来ようか!」

「ですから動けないんです!大丈夫だから来てください!!」

しぶしぶ中に入り彼のもとへ近づくと、そこにはなんと――

……本当はここで終えて次回に続くNetflixドラマ仕立ての2部作コラムにしようとしたが、前回はコラムをお休みしたので、続けます。

つづき。

彼は粘着床置きタイプのネズミ捕りシートを両足でもろに踏みつけ、次の一歩が踏み出せないでいたのだ。

恐怖から笑いに変わる。

「だから騒ぐなって」

と言ったばかりの私が今度は爆笑してしまい、逆に怒られる始末。

「これ取ってくださーい 涙涙」

だが私はすぐには動かない。

画が面白すぎるからだ。

「ちょっとまって、今、今週のコラムの構成考えてるから!」

よし、取れ高、十分。

救出するため大股で段ボールをまたぎ、彼の元まであと1m。

最後の一歩。

どん!

「・・・・・ん?」

ミイラ取りがミイラに。

救出するどころか、お互いが要救助者となり、沈黙の時間が続く。

ある意味、地面師たち。

落ち着く為の鎮静剤代わりに二人のお気にいりの携帯シーシャを、手を伸ばし渡し合い交互に一服する。

「さて、どうしよっか」
「あ!靴脱げばいいじゃないですか」
「ほうほう、で、その次踏んだら?」
「靴下を脱げばいいんです」
「うんうん、でその次は?」
「・・・」

みたいな会話が続き膠着状態となっていたが、ツイスターゲーム状況で両手も使い助け合い、なんとか脱出に成功する。

そして本来の目的である現場視察を再開するわけだ。

しかし、ここは古物商の性。

まずは買取対象物の物色だ。

するとテーブルに怪しい宝石箱が!

もはや先ほどの地面師案件を忘れさせるほどのオーラが出ている。

そこへ目掛けて二人でテンションが上がり、近づくと、また振り出しに戻る。

「・・・・うちら馬鹿なんですかね?」
「しょうがないさ。・・・だって古物商だもの」

なんて事を数回続け、なんとか任務は無事終了。

帰り際に、コラムニストとしての私は欲が出て聞く。

「ところで何どし生まれだっけ?」
「蛇年ですけどなにか?」
「馬鹿野郎!そこはネズミ年に生まれとけや!」

というわけで現場を離れる。

そしてその夜、お客様である不動産屋から厳しいメールが届く。

「またクレームが来ましたが、お宅のスタッフさんはどういうことですか?」

「本当ですか?大変申し訳ございませんでした。新人だと思われます。厳しく注意しておきます。」

と返答し事なきを得れたとさ。

めでたしめでたし。

という訳で当社の現場対応精鋭部隊に引き継ぎ、ここ数日ホテル泊まり込みで各自大活躍中との事。

・・・あ、ネズミ捕りシートの事伝えるの忘れてた。

こりゃまたクレームくるかもな。

明日は気持ちを切り替えて市場市場。

それではまた明日、市場でお会いしましょう!

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