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警視庁に家宅捜索された件

20年近く前の話なので記憶をたどりながらの話となる。ある朝8時位だったか、当時一人暮らしをしていた一軒家の自宅の寝室にて二日酔いで寝ていると朝からピンポンピンポンが激しい。頭も痛いしなんかのセールスかと思いシカトしていたが数分間もの間ずっと諦めてくれない。しまいには施錠を忘れていた玄関のドアを勝手に空けられ「和智さーん!いるんですよねー?」と叫ぶ声が。このセールスマン、さすがに失礼すぎるだろうと思い玄関に向かうと開けられたドアの隙間から1人の男に話しかけられる。
男:「警視庁から来た者ですけど、あ、これ家宅捜索の許可証ね」と一枚の紙を突きつけられる。
私:「警視庁の方?東京の?え?え?なんですか?」
男:「ちょっと中を調べさせて欲しいんだけど良い?」
私:「え?どうぞ」
男が後ろを振り返り「よし入るぞ」と言った瞬間にドタドターっと7名のイカツイ男性が自宅に侵入して来た。
私:「え?え?えーーーーーーーー?」
私はリビングのダイニングテーブルに手を膝に置いて座るよう命じられ『キャップ』と呼ばれていたその男が真向かいに座り取り調べが始まり、その絵面をカメラでパシャパシャと撮られる。その間にも他の捜査員はドラマの様に引き出しから収納からありとあらゆる所を物色している。
キャップ「なんの捜査かわかってるよね?」
私:「いえ、全くわかりません」
キャップ:「まぁみんなそう言うんだよねー。じゃこの写真見たら思い出す?」と言われ拳銃の写真を見せられるが、私にはなんの事か全く理解できない。続けて見せられたのはその銃のヤフオク出品画面でありそのIDは当時私が運営していた会社のヤフオク販売部の物で間違いない。当時は私の管理しきれないところでどんどん販売されていたので私は全く把握してなかったのだが、どうやらこの背景はうちの販売部がヤフオクで売ってはいけないモデルガンを売ってしまい、それを実弾が撃てるように改造されそこそこの事件で使われてしまった様だ。そういったモデルガンを悪質に売る『銃の闇販売組織の長』として私が被疑者となった様だ。
私:「状況はわかりましたが私は知りませんでした・・・で銃刀法的に通用します?」
キャップ:「しないね」
それを言われ結構やばい状況と察し、そこそこの覚悟を決める私・・。彼らの物色は続く。私が意図的に銃の販売をしている物的証拠が見つかるまで彼らも引くに引けなかったのだろう。
キャップ:「隠してるものが見つかるのは時間の問題だから見られて困る物から順に、自分の口から説明して」と言われ二日酔いだしこの状況で気が動転している私はせめて捜査に協力した方が身の為だと思い正直に伝える。
私:「あそこの高いところの収納扉の中に見られたく無いものはあります」
キャップ:「おい!」と部下の捜査官に指でその収納の捜索を指示する。
キャップ:「何が出てくるのかな?」
私:「アダルトDVDです」と言い終わると同時に捜査官がそれを発見し、キャップに無言でうなずいている。
キャップ:「そういうんじゃなくて」って今思えばコントの様な展開になっているが当時の私は必死である。当然無実の私の自宅からは何も出てこず捜査官達にもマト外れ的な雰囲気が出てきた頃に一人の捜査官が叫ぶ!
捜査官:「キャップ!!これ!!」と言い超ミニジプロックに詰められた白い粉をドヤ顔でキャップに渡す。鬼の首を副産物として収穫した手応えで捜査官の息も荒い。キャップはその小袋を私の目の前でゆすりながら言う。
キャップ:「これ、何だか説明できる?」
当時の私は咳が止まらず小分けにして常備していた咳止め薬だったので
私:「龍角散です」と正直に伝えると、捜査官がその小袋をバッと取り返し中身の匂いをかぎ、独特の匂いですぐに分かるので龍角散と判断し、キャップに無言でうなずいている。
そんなこんなで私の家は空き巣にでも入られたかの様な有り様となるが彼らには収穫が無かったので家宅捜索は諦め、今度は離れたヤフオク販売部の捜査をするので同行を指示され出発の準備をしてほしいと。
私:「あのー私の今後はどおなります?」
キャップ:「この後の捜査次第ではそのまま連行し勾留するかも」と言われたので私は絶望モードで旅行と同じ身支度をする。
私:「罰金は?」
キャップ:「50万円とか、それは今わからない」
次いつ帰れるか分からない自宅の玄関を出ると逃亡防止の為に私を真ん中にして7人の捜査官と1列で歩かされ待機しているワンボックスカーに乗せられる。お隣の奥様にはカーテン越しにその日常では無い光景を覗き見されていた。
で結局次の場所でも自宅と同様に捜索がされたが物的証拠の収穫は当然なく捜査は終了となりその場で釈放された。どうやら私は彼らにとって面白みの無い被疑者となったのだろう。帰り際にキャップが言い残す。
キャップ:「では今回の件で処罰の対象となったらまた追って」と言われ撤収していった。で、その後・・・・の話はここでは書いて良いのか微妙なので興味がある方は直接私にお聞きください。
 以上、古物商はコンプライアンスを守らないと大変な思いをする話でした。

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