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「もう犬なんて飼わない…あれから30年!(きみまろ風)」

子どもの頃、私は自然が多い町で、ピレネー犬という大型犬と一緒に暮らしていた。

白くて大きくて、やさしくて、そしてとても賢い犬だった。
でもその分、別れは大きく、深く、苦しかった。
あのとき私は決めたのだ。

「もう犬なんて、二度と飼わない。いや、飼えない……」

以来ずっと、私は家庭内で“ペット防衛大臣”としての任務を果たしてきた。

子どもに「犬飼いたい!」と言われても、
「かわいいよね〜。でも、うちは無理だな」と笑顔でかわす。
この“やんわり否定力”で国境線を守ってきたのである。

……のはずだった。

ある日、娘が何気なく聞いてきた。

偉大な防衛壁に阻まれ続けてきた娘が、ある日——
どうやら姉参謀と作戦を練り直してきたらしく、何気ない顔でこう聞いてきた。

「ねえ、犬って、飼うなら小型犬? それともピレネー犬?」

なんという巧妙な二択。
その瞬間、防衛大臣の私にまさかの動揺が走る。

「ん〜…飼うなら、そりゃあ、ピレネー犬…かな」
気づけば、そう答えていた。

そして翌日から我が家では、“ピレネー犬飼うか会議”が開催される流れに。

恐るべし、誘導尋問。

そこからだ。
なぜだか「犬、飼ってもいいかもな」と思っている自分が、心のどこかにいた。

最初は否定していた。
でも、なぜか「ちょっと気になるな…」と検索を始めていた。
そうやってじんわりと、心の中の防衛ラインが後退していったわけである。

そんなある日。
ふとスマホを見たら、待ち受けがピレネー犬になっていた。

え、いつから? 誰が? ……私のスマホよね?

どうやら娘がこっそり仕掛けたようだ。
パッと元に戻すほどスマホに詳しいわけでもない私は、
そのまま使い続けるしかなく、じわじわと毎日目に入るたびに、確実に刷り込まれていく。

気づけばもう、「犬っていいなぁ」なんて思ってる。
もはやこれはサブリミナル攻撃による洗脳状態。
防衛大臣は完全に包囲されていた。

今ではもう、むしろ飼いたいかも、なんて。
ママに「毛の掃除が大変よ」と言われても、

「いや……パパだってこの先、抜け毛が止まらなくなるかもしれないし…」と、
なぜか犬毛を肯定する方向に。

ここにて、防衛大臣、辞任である。

***

そんなわけで、いま我が家では「犬を飼うかどうか」が絶賛会議中。

とはいえ、私には30年のブランクがあります。
正直、いまどきの犬の暮らし事情や、散歩マナー、しつけの常識など、まるで浦島太郎状態。

そこで、ワンちゃんと暮らしている皆さんにぜひ教えていただきたいのです。

・子どもと犬が一緒に暮らして、どんな変化がありましたか?
・お世話って、実際は誰がしていますか?
・「飼ってよかったこと」も「思ったより大変だったこと」も、なんでも大歓迎です。

明日市場で私を見かけたら、
「うちも犬いるよ〜」「今どきはこうなのよ〜」と、お気軽にお声がけください。
防衛大臣のバッジは外しましたので、今は話しやすいと思います。

それではまた明日、市場でお会いしましょう!

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