入荷情報
7.102025
らんどの救急搬送は預言されていた!?死ぬ思いしました
「今度の7月5日に隕石が落ちるんだって」
そんな話を娘が言っていた。
「学校でみんな言ってる。有名な預言者が言ってたって」
こういう話は昔からある。
たとえば私の少年時代はノストラダムスによる。
「1999年7月に地球が滅亡する」
その後もマヤ暦の2012年人類終了説なんてのも出たが今にいたる。
なので今回も、「ふーん。大変だね」でスルーした。
そして運命の7月5日土曜を迎え、ちょうどその日、うちでは販売予定のかき氷機のチェックが本当の目的とは言わなかったが子どもたちのかき氷イベントを開催中。
シロップを並べ、外では夏らしい笑い声が響いていた。
嫁は仕事で不在。
そこへあとから来たママ友が玄関を開けた。
彼女の目に映ったのは、玄関でうずくまる私の姿。
「2日酔いですか(笑)」
「いらっしゃい…いきなりだけど引かないで聞いて・・・救急車お願い……」
それだけ言うのが、やっとだった。右わき腹の激痛である。
救急車が到着し担架に運ばれる私の姿をみて会場の雰囲気はだだ下がり、カラフルなかき氷の色とはうらはら全員の顔色はブルーハワイに。
救急車の中。隊員に聞かれた。
「痛み、人生MAX10なら今は何段階ですか?」
私は声をふり絞り答えた。
「スズメバチが8、ブラジリアンワックスが10、今は15・・・」
人生最大の痛みを大幅に更新した瞬間だった。
これはひょっとして尿管結石?体験者から聞いたことが蘇る。
「あれねー痛いよー」と半笑いの熱海さんの顔が。
そんな表現の痛さとはレベルが違いすぎるので彼の情報はリストから即消える。死ぬんではないかと本気で焦る。
病院に着いた。激痛でもうろうとする意識の中、チャラついた感ある即席ドクターと見られる若い二人の男が対応しているが、まぁこれで今夜は何かあっても安全な病院だと安堵がもれた時、駆け付けた妻が受けた簡単な説明を私に伝言。
「先生が痛み止めを出すから帰れって」
冗談だろ。こっちは尾崎豊よりも15の夜だぞ!
私はすぐにドクターを呼びつけ何度帰宅させられても救急車で何度でも戻る事になると脅す。
「入院しても土日でほとんど対応もできませんよ・・」
むむむ!こいつらは土曜の夜でこの後合コンの予定でも入っているのか!?
苦しみと痛みで温厚の器は崩壊し
「いやいやどう考えても入院でしょ!なにもしてくれなくても私の力のあるドクター友人達が明日見舞いにくるだろうから色々聞いてもらうわ!」
で、しぶしぶ入院の手続きをはじめられ、なんとか帰宅の魔をのがれる。
その夜はなんとか鎮痛点滴で乗り切る。
翌日、いけ好かないドクターから結局『尿管結石』と診断された。
私は思った。熱海さんのあの痛さの表現、彼はよっぽど痛さに強いかよっぽど説明が下手かだ。
そして7月5日の預言も石こそ違うがほぼ合っていた事に。
入院2日目。
私にまた地獄の痛み、第2波がやってきた。
「来た……」と感じ、ナースコールを押す。
「すぐに行きます」とナースから返事があったものの、もがき続けるがなかなか来ない。
地獄の中を5分ほど待たされ、「痛そうですね、鎮痛の点滴を持ってきます」・・・の対応後、結局それから1時間後にやっと来て
「前回投与から時間を空けなくてはいけなかったので」だと。
まぁすがる思いなので点滴対応してもらう。
その後の第3波でも似たようなナースの対応が続く。
こいつらも昨夜合コンのエントリーをされていたのかどうも私に対応が悪い。
昼食を持ってきたスタッフも「痛そうですね!伝えます」と言って去ったが、また誰も来ない。
その間、常に私は15の痛みでもがき続けていた。
仏の私にもいよいよ限界が訪れる。
ようやく来たのは、何も引き継がれていないでたまたま来た男性看護師だった。
「つらいんですか?すぐ呼んできます」
「ちょっと待て!イテテ、おかしくねぇか!?ウーイテテ・・・」
廊下に響く私の声にその看護師は、私が怒り始めた瞬間に、ドアを閉めようとした。
「閉めなくていい!聞かれて困る話でもあるのか!?開けとけ!」
理性崩壊している私は止まらない。
「忙しいのはわかる。イテテ。でも毎度毎度“すぐ来る”って言うな・・イデデ・・。
来れないなら来れないでしょうがない。
5分かかるなら5分、1時間かかるなら1時間って言え。
俺はそれに合わせて残り体力を分配して耐えてるんだ!」
山本リンダより、どぉにも止まらない私。
「お前、考えてみろ。限界で向かい、後10秒で公衆トイレにたどり着くとき全部満室だったときの絶望を。漏れるよな!?
すぐ来るって言われて来ないのは、あれと同じ地獄だろうが!昨日から何度漏らしたと思ってるんだ!・・・いや、漏らしてはないけど!!」
暴言止まらず。
「だから俺は限界で向かった公衆トイレには“どうせ満室だ”って心に余裕を思って向かうんだ!
だからお前もそうしろ!」
やや説教論点がずれかけてるが看護師は
「わかりました!すぐ呼んできます!」
「おい待て!だから何分だ!」
「10分で戻ります!!」
「よし!行ってこい!」
そんなこんなでそれからは全看護師にヤベー患者として広まったのか、私には時間を約束した上で退室する看護師達。
その午後、私が信頼する、見た目はチャラぃおっさんだが一応都内医学会の理事長でもある親友のドクターから連絡が来た。
彼の言う医学的アドバイスはこれまでに何度も助けられた事があり、私はそっち方面では信者でもある。
私はまるで「聞いて聞いて〜ドラえもーん、痛かったよー、しかもここの病院のやつらがね」みたいな内容を伝えると
彼は落ち着いた声で言った。
「尿管結石は、救急車で運ばれるほど痛いから妥当だね。
水をたくさん飲んで、おしっこで流すのが一番。
……ちなみに“ぴょんぴょん跳ねて重力で落とす”って医者もいるよ(笑)」
続けて
「でね、今回のその病院の対応だけど・・」
いつも本当に困った時は癒しの言葉をくれるので言葉の受け入れ態勢万全で「うんうん!どぉ思う!?」
「シュウちゃん、それはね……バチが当たったんだよ。アハハ。」
ちーん・・・・。私は信者だ。その言葉を、真摯に受け止めておこうと思う。
そしてもうひとり、
何度も経験を経ている尿管結石の大先輩、熱海さんに相談したが、流石経験値の高い彼の考えは面白い。
尿管結石はレーザー治療で石の破壊かトイレで自然排出で完了らしいのだが、今では即レーザー治療にこだわっているとか。
出てくる前にレーザー治療だと手術認定で医療保険がそこそこ出るが、自然に出したら当然対象外。
つまりその石は体内にあるうちは“宝石”だけど、出た瞬間ただの結石だと・・・。
さすが尿管先輩である。(さすが、が「流石」って字なのもおもろい)
私は思った。どうせなら——
体内にあるうちに宝石を手に入れたい。
だって古物商だもの(みつを風)
それではまた明日、市場でお会いしましょう!
・・・(明日は病院でお休みかもでした)

