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見てはいけない物を見てしまった次の瞬間

今週、私は“見てはいけないもの”を見てしまいました。

それも、よりによって「絶対安全」だと思っていた場所で。

今回登場するのは、私の友人夫婦。

周囲が嫉妬するほどの、おしどり夫婦。
奥様は太陽みたいに明るく、いつもニコニコ。
愛想も良く、家族ぐるみで付き合う、本当に感じの良いご夫婦です。

……少なくとも、私はそう信じて疑っていませんでした。

今週、友人に預けていた荷物を受け取りに行く予定がありました。

連絡すると、彼はあいにく外出中。

「あ、ごめん! 今外なんだけど、家に置いてあるから嫁がいるから言っとく!」

そんな流れに。

その後、別件でたまたま彼らの家の近くを通った私。

「あ、今なら寄れるじゃん」

そう思い立ち、急遽連絡。

「今近く来ちゃってるんだけど大丈夫?」

すると彼は、

「あ、じゃあ嫁に言っときます!」

そんな流れになりました。

私は以前、彼を迎えに行った事が何度かあり、家の場所は覚えていました。

そして私は、

「あ、この家だな」

と、その家の前に車を停めた。

……その瞬間。

ガチャリ。

玄関の扉が開き、一人の男性が出てきました。

パリッとしたスーツ姿。

ただし。

ワイシャツのボタンを残り3個、慌てて留めながら小走りで出てくる。

しかも顔が焦っている。

私は車内で完全にフリーズ。頭の中で火曜サスペンス劇場の「テテテテ!テテ!テーテー!」を入れて一度気持ちを整理するための時間を得る。

私は当然、すぐにはピンポンを押せません。

もちろん、何もない可能性もある。

親族かもしれない。
仕事関係かもしれない。
ただの点検業者かもしれない。でも・・頭の中では、もう完全にそういう事である。

改めて

市原悦子ばりに、

「あらやだわ奥様ったら……」

の世界である。

あの奥様のいつものニコニコ顔すら、
「見事なポーカーフェイス」に見えてくる。

そう。

女性とは本当に恐ろしい生き物なのだ。

嘘を隠すのもうまいし、見抜くのもうまい。

うちの嫁もそうだ。

天然ボケっぽくて、嘘なんか絶対下手そうに見える。
私は最近まで、「嫁の考えてる事なんて全部わかる」と思っていた。

逆に私は、心配をかけたくなくて、ちょっと危ない仕事に踏み込もうとしてる時なんか、「いやいや全然平気平気」と強がったり、多少ごまかしたりもしてきた。

当然、私はバレてないつもりだった。

……だが。

以前も書いたかもだが、娘が「学校で流行ってる!」と言い出し、家族で人狼ゲームをやった時。そう、嘘をつくのが上手く見抜ける人が強く、その逆は弱いゲームだ。

私は衝撃を受ける。

嫁の嘘が、まるで見抜けない。

しかも私は、嘘をついた瞬間に秒でバレる。

「あ、この人いま嘘ついた」

みたいな空気になる。

家庭内では完全に最弱。

女性、怖っ……。

そう。

男は常に、女性の手のひらの上で踊らされているのだ。

……話は戻る。

私の妄想脚本は、どんどん暴走します。

「おしどり夫婦なんて、所詮は仮面の姿か……」

市場にもいる。

いつも仲良く競りを見ている、あの夫婦会員さんも……。
あのご夫婦も……。

「あんなに仲良く見えても、実際はわからないもんだ……」

私は完全に、昼ドラ脚本家モードへ突入。

しかも友人も、昔はやんちゃだったが最近は丸くなったと周囲から言われている。

……いや。それも怪しい。

この“おしどり仮面夫婦め”……。

付き合い方を考え直さないと……。

そんなところまで考え始めていた。

するとその時、友人から電話。

「シュウちゃん、今うちの前でしょ? 嫁に外に物持って出るよう言っといた!」

私はすかさず、

「あ、いや、もし来客中とかだったら俺も気が引けるし、急いでるからまたでも――」

そう言おうとしたその瞬間。

先ほど男が出てきた扉の、“隣の扉”が開いた。

そして奥様が出てきたのである。

100%純正。
まじりっ気ゼロ。
いつもの笑顔で。

私は頭の中がバグりました。

「え?」

「玄関二つあるの?」

ポカンとする私に、奥様は不思議そうに笑いながら言いました。

「和智さん、ここテラスハウスですからね(笑)」

……あ。

私は完全に思考停止。

荷物を受け取りながらも、

「どうしたんですか?」

という心配の声に対し、

「いや……最近ちょっと疲れてて……ハハッ!」

と、不審者みたいな返答をして荷物を受け取り逃げ帰りました。

私は猛省 笑。

我々古物商は、品物を一瞬で見て真贋を判断し、査定します。
そのスピード感こそが信頼に繋がる。

しかし、その「瞬時に判断するクセ」を、人間関係に持ち込んではいけなかったのです。

物の査定は即決断。
人の査定は慎重に。

市場の仲良し夫婦会員さん達、疑って本当に申し訳ありませんでした 笑。だって古物商だもの。

……いや、でも逆に仲良すぎる夫婦も怪しく見えてきた私は、もう末期なのかもしれません。

明日の市場では、お詫びも兼ねて、皆さんが本当はどのくらい仲が良いのか、こっそり観察してこようと思います。

それではまた明日、市場でお会いしましょう!

追伸。

その後、暇だったのでマリンに「おしどり夫婦」の語源を調べさせてみました。

すると驚愕の事実。

オシドリって、毎年パートナーを変えるのも珍しくないらしいです。

えーーーっ!!

勝手に「愛妻家界のレジェンド鳥類」だと思っていたのに。

どうやら、水面で仲良く寄り添って泳いでるビジュアルが良かっただけで、勝手に「仲良し夫婦の象徴」にされたらしい。

うーややこしや。オシドリ夫婦!

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