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努力が実るまで続けてみる話

ゴルフ歴だけでいえば、私はもう30年ほどになります。

30年というと、なんだかものすごいベテランのように聞こえますが、実態はまったくそんなことはありません。

月に1回やるかどうか。

途中、5年くらいやっていなかった時期もあれば、下手をすると10年くらいクラブを握っていなかったような時期もあります。

腕前としては、なんとか同行者に迷惑をかけずに18ホールを回り、100を切れたら、

「今日はなかなか良かったな」

という程度。

言ってみれば、ゴルフ歴30年という肩書きだけが妙に立派な、永遠の中級者以下であります。

そんな私が、この1か月、人生で初めてと言っていいほど真剣にゴルフと向き合いました。

きっかけは、身近な友人がゴルフを始めたことでした。

彼はまったくのゼロからのスタート。

ただ、始めるからには毎日のように練習したいというので、

「じゃあ、時間が合うときは付き合うよ」

というところから始まりました。

近所には、24時間いつでも利用できる同伴者可のシミュレーションゴルフがあります。

月額も9,000円ほど。

プライベート感もあり、好きな時間に好きなだけ打てる。

これなら彼の練習にも付き合えるということで、彼も同判時に1000円払ってくれるとの事なので私も「では一か月に9回以上行ったら俺プラスやん」との下心と共に契約してみました。

そしてそこに、市場会員でもある新田ちゃんも加わりました。

新田ちゃんも、私と似たようなゴルフ人生を歩んできたほぼ同レベルの人です。

長くはやっている。

でも、ものすごく真剣に取り組んできたわけではない。

そんな私と新田ちゃんと、ゴルフを始めたばかりの友人。

この3人で、この1か月、時間が合えば毎日のように練習する生活が始まりました。

最初は友人の練習に付き合っているつもりでした。

ところが、やっているうちに当然こちらも楽しくなってきます。

せっかくだからYouTubeも見る。

スイングも研究する。

クラブの使い方も考える。

今まで30年間、

「まあ、こんなもんだろう」

と適当にやってきたゴルフに、なぜか今さら本気で向き合い始めたわけです。

すると、これが面白いように結果が出ました。

シミュレーションゴルフというのは非常によくできていて、実際に自分のクラブでボールを打ち、その球筋を機械が読み取ってコースを回ります。

ゲームをする方なら、実際にクラブを振って遊ぶ「みんなのGOLF」のようなものを想像していただければ近いかもしれません。

最初は実際の私と同じように100前後だったスコアが、どんどん良くなっていきました。

90台になり、80台になり、

とうとう70台まで出るようになったのです。

ここまでくると、人間というものは恐ろしいものであります。

私は完全に、

「ついに才能が開花した」

と思い始めました。

30年間眠っていたゴルフの才能が、今になって目を覚ましたのではないか。

そんなことまで考え始めます。

そして、ちょうど50人ほどが参加するゴルフコンペに出る機会がありました。

会主の大小原さんたちと一緒に回ることになり、私は満を持して本番に挑みました。

正直に言います。

かなり自信がありました。

なんなら50人の中で優勝しても、それほど不思議ではないと思っていました。

さらに言えば、

「今日どうしたの?」

「急にうまくなったけど、何があったの?」

などと優勝後に聞かれたときに、

「いやあ、実は最近シミュレーションゴルフを始めましてね……」

と答えている自分まで、うっすら想像していました。

まだスタートもしていないのに、優勝インタビューの準備だけはできていたわけです。

ところが。

実際のゴルフ場に出てみると、まるで話が違いました。

シミュレーションでは、いつも平らな場所から打てます。

風もある程度計算できます。

同じテンポで次々に打つこともできます。

しかし実際のコースには傾斜がある。

ラフがある。

バンカーがある。

風がある。

待ち時間がある。

同行者との会話がある。

結果。

この1か月の練習成果を発揮するどころか、

練習を始める前より悪いんじゃないか

という、とんでもないスコアになりました。

見事なまでの撃沈です。

優勝インタビューどころではありません。

ところが。

その日、同じ組で回った会主の大小原さんが、

なんと見事に優勝。

私は思いました。

「あれ?」

私自身には何も起きていない。

いや、むしろ悪いことしか起きていない。

ところが、一緒に回った人が優勝している。

まあ、一日くらいなら偶然でしょう。

問題は翌日です。

たまたまゴルフのお誘いが重なり、私は2日連続でコースに出ることになりました。

そして2日目は、この1か月、私と同じように練習してきた新田ちゃんと一緒です。

私と新田ちゃんは、ほぼ同じ条件でした。

似たようなゴルフ歴。

これまで大して真剣に練習してこなかった。

そこからこの1か月、毎日のようにシミュレーションゴルフで練習した。

二人とも、

「いよいよ本番で成果を出す日が来たな」

くらいの自信は持っていました。

ただし私は前日に、ひと足先に現実を思い知らされています。

そこで、少しだけ思っていました。

きっと新田ちゃんも同じ目に遭うだろう、と。

もちろん、新田ちゃんの失敗を願っているわけではありません。

しかし、

「やっぱり練習場と本番は全然違うよな」

「そうなんだよ!」

と、二人で傷を舐め合える仲間ができることを、私は心のどこかで少し期待していたのです。

ところが。

新田ちゃんは違いました。

この1か月の練習成果を、ちゃんと本番で発揮したのです。

スコアはぐっと良くなり、

そしてなんと、

優勝。

おい。

話が違うじゃないか。

同じようなゴルフ人生。

同じ1か月。

同じ練習場。

同じように自信満々で本番を迎えた。

なのに私は前日よりさらにひどいスコア。

新田ちゃんは優勝。

ここまでくると、もう考え方を変えるしかありません。

私はゴルフが下手なのではない。

もしかすると、

私は「歩くパワースポット」なのではないか。

一緒に回った人が2日連続で優勝しているのです。

ひょっとすると、18ホールかけて私の運気が少しずつ同伴者へ移っているのかもしれません。

私がOBを打つたびに、隣の人の運気が上がる。

私が3パットするたびに、同伴者のパターが入る。

そんなシステムになっているのではないでしょうか。

そうでも考えなければ、自分を慰める方法がありません。

ただ、今回のことで少し考えました。

思えば私はこれまで、あまり「努力」で生きてきた人間ではないような気がします。

仕事でも人生でも、

風向きを見る。

人を見る。

タイミングを見る。

空気を読む。

そして、

「今だな」

と思ったところで動く。

そんなふうに、努力を積み重ねて正面から突破するというより、流れやタイミングや勘のようなもので、なんとなくここまで生きてきた気がします。

言ってみれば、私は努力型というより、

嗅覚型。

だから今回、

「1か月これだけ練習したのだから、当然結果が出るだろう」

と考えてしまった。

しかし、どうやら努力というものは、そんな簡単な仕組みではないらしい。

同じだけ練習しても、すぐに結果につなげられる人もいる。

新田ちゃんのように、本番でそれを出せる人もいる。

一方で私のように、練習したことでいろいろ考えすぎて、かえって今まで自然にできていたことまで分からなくなる人もいる。

これはゴルフだけではなく、仕事でも人生でも同じなのかもしれません。

新しいことを始めれば、勉強した翌日に結果が出るとは限らない。

努力した分だけ、すぐ売上になるわけでもない。

新しいやり方を覚えたことで、一時的に今までより下手になることだってある。

そこで、

「俺には向いていない」

とやめるのか。

それとも、

「まだ結果が出るところまでやっていないだけ」

と思って続けるのか。

たぶん、その差は大きいのでしょう。

というわけで、私はもう1か月、同じようにゴルフと向き合ってみることにしました。

53歳にして、

人生で初めて「努力が結果になるまで続けてみるキャンペーン」のスタートです。

これまでタイミングと風向きと嗅覚で生きてきた人間が、果たして努力というものを身につけられるのか。

自分でも少し楽しみです。

ただし現在のところ、1か月間の猛練習によって確認できた私の特殊能力は、

自分が優勝する能力ではなく、同伴者を優勝させる能力だけ。

次回のコンペでどうしても優勝したい方。

よろしければ、私と同じ組をご指名ください。

私自身の優勝については、

もう少し先になりそうです。

それでは明日また市場でお会いしましょう!

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