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台風に突っ込み、母の車に突っ込み、15年前で止まった町へ

私は基本的に、カレンダーが赤い日に旅行へ行きたくない。

混む。高い。疲れる。

わざわざ高い金を払って渋滞にハマるくらいなら、平日に行けばいいじゃないか、というのが私の考えである。

しかし家族にそんな理屈は通用しない。

「シルバーウィーク、どっか行きたい」

しかも最近、周りからよく言われる。

「家族4人で旅行できるのも、子どもが大きくなったらそう何回もないよ」

確かにそうかもしれない。

ということで今回の目的地は宮城県。

ただし、連休料金の高い宿に泊まる気はない。

私のハイエースは後ろがセミダブルベッドになっており、後部座席と組み合わせれば家族4人くらい十分寝られる。

**宿がなければ車で寝ればいい。**

ところが出発日は、よりによって台風。

「本当に行くの?」

「気をつけてね」

と散々言われ、私も「仙台まで慎重に行こう」と思いながら、自宅敷地内でハイエースをバックさせた。

**母親の車の脇腹にドン。**

まだ公道にすら出ていない。

仙台まで約400キロ。

**旅行開始0メートルで事故である。**

台風で後ろがほとんど見えなかったのだ。

これはまずいとガソリンスタンドへ行き、洗車機で一番いい2,200円の撥水コーティングを施工。

これで安心。

……と思ったのだが、圏央道で八王子あたりまで来ると雨はさらに激しくなり、ワイパー全開。

さすがにこれだけ激しくワイパーで擦り続ければ、撥水コーティングの効果も早々に薄れてくる。

そこでサービスエリアで見つけたのが、1,500円ほどの**スプレー式ガラコ**。

シュッと吹いてワイパーを動かすだけ。

これが驚くほど効いた。

高速では水滴が勝手に吹っ飛び、その後はほとんどワイパーを使わずに済んだ。

最近ガラコなんぞ使っていなかったが、今のガラコ恐るべし。

台風旅行の救世主となった。

## 兄貴の変わった魚料理店へ

今回、宮城へ向かった目的の一つが、塩竈市に住む兄の店。

**「さくら食堂」**である。

この店が、普通の魚料理屋とはちょっと違う。

兄は自分で大型の釣り船を所有している。

その船にお客さんを乗せ、自ら釣りへ連れて行き、釣れた魚を店で料理して提供する。

さらに地元の釣り人が釣った魚も買い取る。

一般的な魚料理店なら市場から魚を仕入れるのが普通だが、さくら食堂は**地元の海で釣れた魚を、釣った人から直接店へ**という、かなり地産地消なスタイル。

だから、その日に何が釣れたかで料理も変わる。

釣り好き、魚好きにはたまらないし、その珍しさから観光客にも評判になり、ランチは毎日のように並んでいるという。

今回は取材も兼ねて、地元ならではの新鮮な穴子のしゃぶしゃぶ、朝獲れの魚、ワタリガニの塩茹でなどを用意してもらった。

これは魚好きにはたまらない。

塩竈方面へ行くことがあれば、ぜひ「さくら食堂」へ。

兄の店なので、ここは堂々と宣伝しておきます。

松島も観光し、人生トップ3に入りそうな牛タンも食った。

ここまでは完全に食って遊んでの家族旅行である。

## そして、福島へ「潜入」

ただ今回、もう一つやりたいことがあった。

娘たちは二人とも、2011年の東日本大震災を知らない世代である。

せっかく東北まで来たのだから、教科書やYouTubeだけではなく、実際に震災の現実を自分の目で見せておきたい。

そこで現地に住む兄にも相談し、名取方面など震災の記憶を伝える場所を見ながら南下した。

そして最後に、

「福島のあの辺も、一度見ておいた方がいいんじゃない?」

という話になった。

福島第一原発周辺。

かつて広い範囲に避難指示が出され、その後、少しずつ解除や立入規制の緩和が進んできた地域である。

2026年の現在も帰還困難区域は残っているが、以前は自由に通れなかった地域にも、今では一般車で走れる道路がある。

ならば、

**行けるところまで行ってみよう。**

もちろん規制区域には入らない。

常磐道を途中で降り、一般車が通行できる国道6号へ。

双葉町、大熊町方面へ約10キロ。

ある意味、家族4人での**社会科見学潜入ツアー**である。

ところが、入ってすぐに空気が変わった。

道路はきれい。

車も走っている。

大型ダンプも、新しいビジネスホテルもある。

なのに、

**人が歩いていない。**

福島第一原発へ近づくほど、国道から分かれる道路にはバリケードや立入規制の表示が現れる。

こちらは普通に国道を走っている。

そのすぐ横には、まだ自由に入れない区域がある。

日本国内なのに、なんとも不思議な光景だった。

そして国道沿いに、大型のリサイクルショップがあった。

同業者なので、どうしても目が行く。

広い敷地は草ぼうぼう。

建物にも草木が絡みついている。

15年前までは店員がいて、お客さんが来て、普通に商売をしていたはずだ。

地震が起きた瞬間、店内がどうなったのかは分からない。

棚から商品が落ち、そのままなのかもしれない。

もちろん中を見たわけではないので想像でしかない。

しかし外から見ると、

**2011年3月11日の途中で突然営業を止め、そのまま15年間、時間だけが進んだ。**

そんなふうに見えてしまう。

家具屋、商店、住宅。

草木に飲み込まれた建物。

そして、人がいない。

正直、

**北斗の拳の「ヒャッハー!」とか言ってる悪党がバイクで出てきても、あまり違和感がない。**

最初はそんな冗談を言っていた。

でも、走っているうちに笑えなくなった。

映画のセットではない。

ここは本当に、誰かの故郷だった場所なのだ。

## 「普通」って、結構ありがたい

国道6号を走ったのは、ほんの10キロほど。

それだけで十分だった。

娘たちには、

「よく見ておきな」

と言った。

普通の国道のすぐ横にバリケードがあり、その向こうに誰かの家がある。

震災を知らない世代には、教科書を読むのとはまったく違う社会勉強になったと思う。

そして私自身も考えさせられた。

「最近、なんか面白いことないな」

「刺激がないな」

そんなことを思うことがある。

でも人間なんて勝手なもので、毎日続いているものにはすぐ慣れてしまう。

朝起きる。

仕事へ行く。

家に帰る。

家族と飯を食う。

休みになれば、ハイエースに家族4人詰め込んで、ゴチャゴチャ言いながら旅行する。

今はそんなことも当たり前だと思っている。

でも今回見た町では、その「当たり前」がある日突然なくなった。

**今日も普通に家へ帰れる。**

考えてみれば、それだけで結構幸せなことなのかもしれない。

そして子どもたちも大きくなる。

家族4人でハイエースに雑魚寝して旅行できるのだって、あと何回あるか分からない。

最近刺激がないなあ、なんて思っている人。

何も起きない日常も、案外悪くないですよ。

ただし、

**旅行開始0メートルで母親の車にぶつけるような刺激は必要ありません。**

それは本当にいらない。

そんなことを考えさせられた、今年のシルバーウィークでした。

**それでは、明日市場でお会いしましょう。**

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